BASARA MAINZ

ドイツで、海外で、サッカー指導者として勉強する意味とは

2023.04.28

ドイツで、海外で、サッカー指導者として勉強する意味とは

初めまして。

今シーズンの冬季中断明けからバサラマインツにセカンドチームのコーチングスタッフとして加入しました、力石尚と申します。

「りきいし」ではなく「ちからいし」ですのでご注意を。

マインツに拠点を移す前はケルンで約8年ほど生活しており、ケルン市内のFortuna Kölnというクラブで2015年~2022年の期間、育成年代の監督やコーチを務めてきました。

kけフォルトゥナケルン時代

それと同時にケルン体育大学のスポーツパフォーマンス学科に在籍し、日本で大学・大学院と6年間体育を専攻してきたのにも関わらずドイツの地で再び体育学を勉強するという粘着質な側面も見せつけております。

更に遡ると、ケルンに住む前には1年間Ludwigshafenという街で暮らし、地元のクラブのU19で指導者研修をしていたこともあります。

日本で指導者をしていた期間よりもドイツで指導者生活をしている期間の方が長くなった私ですが、今回は「指導者として海外でサッカーを学ぶ」という点について話を進めていきたいと思います。

語学面での苦労

海外でサッカーを勉強するという部分において、何よりもまず最も苦労した点(現在進行形でも苦労している点)として、月並みですが語学面が挙げられます。

もちろん日本でも多少の準備はしてから渡航しましたが、実際に現地のドイツ人の「生きたドイツ語」に対して「生きたドイツ語」で応対するためにはそれなりの労力と時間が必要です。

積極的にコミュニケーションを取ることが大事

私自身の語学センスの無さも習得の遅さに拍車をかけていると思いますが、他の何人かの日本人指導者仲間と話をしても、指導者としてディスカッションしたり本質を少しずつ理解できるようになるには最低でも1年から1年半は必要。それまでは(もちろんそれ以降も!)徹底して語学学習することが重要だと思います。

指導者としての活動及び大学入学の為にはあまりにも語学学習に割かなければいけない時間が多かったため、『指導者の勉強したくて来ているのに、何やってんだろ…』と何度も悩みましたし苦しみました。

このフェーズを越え、ある程度言語が扱えるようになってようやくサッカーを集中的に学ぶフェーズに入っていけるのではないかと個人的には感じています。

もちろん色々なチームのトレーニングを見学したり試合を観たり、数週間や数ヶ月の滞在であってもその国のサッカー指導を学ぶことは可能ですが、あくまで表面的な情報を取得したという事に過ぎないのかなと。

ただこの点バサラマインツでは、経験豊富な日本人スタッフがいるので、少ない期間であってもより早く、より理解を持ってサッカーを勉強することができるかと思います。

バサラマインツでは経験豊富な日本人スタッフがサポート

ですが、先程も言及した通り、その国のサッカー指導の本質や考え方を理解して噛み砕いていくためには特に言語面の観点からまとまった時間が必要です。

外国人として信頼を得る

異国の地でサッカー指導を学ぶためには、当然ですが実際に指導現場を持つことは必須です。

今の世の中、ネット、SNS、動画配信サイトなどで海外クラブのトレーニングや戦術、海外の指導環境やライセンス情報は簡単に検索し、情報を得ることができます。

それでもやはり現地の選手と現場で直接関わることで日本では経験できないことに触れられるチャンスがあると思います。

新たに得たり感じたりした知見をアウトプットするために指導チームを持ち、試行錯誤しながら現地の選手に対して指導を任せてもらえるようなポジションを得る…。

我々日本人はドイツでは外国人です。母国語としてドイツ語を操るドイツ人よりこいつの方が良いとクラブから思ってもらえるような熱意と指導力を備えることが自身の指導者としての成長にも繋がっていくものだと言えるのではないでしょうか。

海外で指導者として立つ意味

私自身は指導者としてのレベルアップやライセンス取得等を目的に渡独しましたが、海外が優れていて日本が劣っているという事では全くありません。

日本にいても指導者として成長することは間違いなくできますし、逆に海外にいれば成長できるのかというと必ずしもそういう訳ではありません。

むしろ若年層の選手育成は日本の方がドイツよりも優れている印象がありますし(日本人選手の方が上手くて強くて速い)、ゲーム分析に関しても、ケルン体育大学の授業でドイツ代表の分析サポートをしている「チームケルン」の学生メンバーと同じプロジェクトに参加しましたが、分析の緻密さや精巧さに関しては日本の方が上だと感じました。

では海外で学ぶ意義は何か。

強豪国でサッカー指導の経験値を積み上げられたり、UEFAライセンスと互換性のある指導者ライセンスを取得できるので、世界中の様々なカテゴリーでチャレンジできる可能性が生まれてくるという点も当然ありますが、それ以外にも、日本にいた時には想像したことのない視座からサッカーを捉える経験をし、新しい概念を知ることができるというのも大きいと思います。

ライセンス取得コースでは多くの指導者と関わる中で人として、そして指導者としての幅を広げることができる

指導者ライセンス講習会やケルン体育大学のサッカーコースでも多くのことを学びましたが、上記の点も現地で感じて特に印象に残っています。

つらつらとまとまりなく長ったらしい文章になってしまいましたが、海外で指導者としてサッカーを学ぶことに関して、こんなこともあるのかと知っていただければと思っています。

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