2023.04.14
ドイツサッカー留学の壁?!ドイツ4部リーグのレベルって?
今回はドイツにやってくるアマチュアサッカー選手にとって気になるリーグであるドイツ4部について書かせていただこうと思います。
そもそもドイツサッカーってどういう仕組みなのというところから、プレシーズン期間に行ったドイツ4部チームとバサラマインツの試合から具体的なプレーを映像と一緒に見ていきたいと思います。
ドイツサッカー留学生にとっての1つの大きな壁である4リーグをこのブログを通して少しでも分かっていただけると嬉しいです。
目次
そもそもドイツサッカーの仕組みってどうなってるの?
いくつのリーグが存在するの?どこからがプロリーグ?などなど意外と皆さんブンデス1部リーグのことは、多くの日本人選手が所属していることから知ってはいても、その先がどうなっているのかを知っている人は多くはありません。
ここではまずドイツサッカーの仕組みについて書いていこうと思います。
こちらの図をご覧ください。
ドイツのリーグ構成を図式化したものになります。
皆さんが知っているドイツ1部リーグが1番上に存在しており、2部、3部までがプロリーグとして存在しています。そして今回のテーマである4部リーグ、5部リーグがセミプロリーグとして存在しています。
ドイツ4部はドイツに5つのリーグがあり、上位争いをするクラブになるとしっかりとしたプロクラブとして活動できていますが、降格争いをするクラブは選手たちも学生であったり、他に仕事を持っていたりとその名の通りセミプロクラブとして活動しているのが現状です。ですが、所属している多くの選手は元ブンデス1部や、2部、3部でプレー経験がある選手が多く、それゆえにレベルが高く、入っていくのが難しいと言われる所以だと思います。
その下に、今現在バサラマインツが所属している、6部リーグが来ます。カテゴリー的にはアマチュアリーグの1番上に属しているという感じです。アマチュアリーグになると、基本選手たちは日中は仕事であったり、授業があったりするので、練習は基本的には夜になります。
1番下のリーグは11部になっていますが、地域によってここには差があります。バサラが所属している地域では全部で11部構成ということになります。(ちなみにバサラは5年連続優勝、6年連続昇格を果たし、これはドイツ記録タイとなります)
ドイツ4部リーグの規模は?
では、どれくらいの規模感で行なっているのか?
2つの例をあげて見ていきたいと思います。
1つ目は毎年4部リーグで昇格争いを行う『Kickers offenbach』です。このクラブは完全にプロクラブとして活動しており、選手たちは全員、サッカーだけで生計を立てています。なので、練習は午前中から行い、2部練も行います。もちろんオフシーズンには他国へのキャンプを行うなど、皆さんがイメージするプロクラブだと思ってもらっても構いません。またこのような大きなスタジアムを所有しており、ホーム戦には何千人という観客が観戦に訪れます。
もう1つは今現在ドイツの5部リーグの首位を走る『TSV Schott Mainz』です。
昨シーズン4部から降格したこのクラブですが、総合スポーツクラブとして素晴らしい施設を所有しています。選手たちは基本的に日中は仕事をしているので、練習は基本的に夜になります。ホーム戦ではある程度の人数が観戦に訪れますが、先ほどのクラブと比べるとやはり少ないかと思います。
実際にドイツ4部リーグでどれくらいのレベルなの?
見出し通りの「実際4部リーグってどれくらいのレベルなの?」といった疑問が聞こえてきそうですが、では単純にドイツ4部リーグを日本の4部(JEL)と比べることは難しいと思います。
選手のプレースタイルや行うサッカーも違いますし、日本人選手のチームでサッカーをするのと、外国人としてプレーするのではやはり違うからです。
今までも日本のプロクラブでプレーしていた選手が4部リーグで苦労している姿を何度も見ていますし、逆に日本では全くプロに引っ掛からなかった選手がドイツで活躍してステップアップしていっている姿も見ています。
なので簡単に日本で言うと〇〇ということはできないと理解していただいた上で、プレー映像を見ながら、いくつかのポイントをあげていきたいと思います。
①フィジカルの差
フィジカルの差と書きまいたが、2つの要素に分けたいと思います。1つがボールを奪いにいくスピード、そしてそれに対する判断のスピードです。
この動画を見てもらうとわかる通り、バサラの選手が相手チームにボールを奪われるシーンを集めています。
後ろから突かれたり、単純にパスのコースに入られたりしているシーンなのですが、バサラの選手たちは普段感じているプレッシャーとは全く違う質・スピード感のプレッシャーをピッチ上で感じていたかと思います。
質の部分で言えば、簡単にいうと「ボールにアタックしにくる」ということです。見せかけのプレッシャーではなく、4部の選手全員が自分でボールを奪うためにプレッシャーをかけに来ています。
もちろんそもそものフィジカルレベルにも大きな差があるかと思いますが、この奪いにいくかいかないかの部分でボールを持っている選手にかかるプレッシャーがかなり変わってくるのです。
そして2つ目の要素として挙げた、判断のスピードです。4部の選手が6部の選手にこのような形でボールを奪われるシーンはほとんどありませんでした。先ほどあげたプレッシャー、その中でしっかりと判断してプレーを決断する。そのスピード感が全く違うということをこの試合では特に感じることとなりました。
②テクニックの差
ここでは細かいテクニックの差について解説した動画をもとにすこし文字でも説明していきたと思います。
まずはトラップです。
日本ではぴたりと止めることを要求されることが多いですが、もちろんボールをストレスなくコントロールすることが大前提でありながら、トラップの時点で次のプレーにつながることが4部の選手は上手かった印象を受けました。
例えば、自分の前にスペースがあったら、トラップが1つ目のドリブルとしてのスタートのアクションになります。これが6部の選手だとおそらく、まずはボールを止めること、でその後にどうしようかな、パスかな、ドリブルかなといった判断が入ってくるかと思います。
2つ目はセンターバックから入れる楔のボールの質です。
まずはパスのスピードです。バサラの選手がいつもと同じ感覚でパスコースを締めにいっても、ガンガン通されているのがわかるかと思います。また体の向きに関係なくボールを入れることができるので、守備側の選手たちはマトを絞ることができず、好き放題に楔のパスが入れられてしまいました。
ここも例えば6部の選手であれば、なかなかこういった質の楔のボールが入れられなかったり、そもそもパスが浮いてしまったりズレがあったりするのかなと思います。
3つ目はロングキックの質です。
こちらはすごくわかりやすいかと思いますが、この試合で相手のボランチの選手がロングボールをミスする、ふわりとした軌道のボールを蹴ることはありませんでした。質の高いボールをノーミスで蹴ることができる。また、トップスピードでドリブルしている中で、そのボールを蹴れることに驚きました。
多くの選手はスピードを緩めるか、1度止まらないと質の高いボールを蹴ることが難しいと思いますが、4部の選手たちをそれを簡単に行なっていたことにレベルの高さを感じました。
そして最後ですが、シンプルにプレーするということです。
これが簡単なようで難しいポイントかなと思いますが、2タッチ、3タッチで、正しい判断を行うこと、そしてそれを実行することは、思っているよりも難しいです。バサラの選手も状態の良い時ほどシンプルに簡単にプレーすることができ、逆に悪い時ほどドリブルが多くなったり、タッチ数が多くなる傾向にあります。現にトップレベルの試合を見ていても、シンプルにサッカーをしています。
この点が意外と見落としがちな、だけど重要なポイントなのかと思います。
ドイツにサッカー留学する日本人がステップアップするために
実際にドイツに来てプロサッカー選手を目指す際に大きな壁となるのが、ドイツ4部です。多くの選手が5部から先にステップアップすることができずにそのキャリアを終えていきます。
もちろん今挙げたポイントだけではなく、色々な要素が重なって、ステップアップというのはしていけるものです。それには人との出会いであったり、タイミングであったりもあるでしょう。
ですがまずは自分が変えれる部分、取り組める部分に日々真摯に打ち込んでこそ、その時が来た時にチャンスを掴むことができるのだと思います。
1年目にドイツのクラブに入った選手たちが、そこでうまく馴染むことができず、結局カテゴリーを落とすパターンをいくつも見てきました。
その点バサラマインツではドイツサッカーを知る日本人スタッフが日々情熱を持って指導にあたってくれ、同じ時期に来た選手を1年後に見た時に感じるのは、よりドイツのサッカーに順応できているのはやはりバサラの選手であることが多いです。
以前のブログにも書かせてもらったのですが、どうしても選手たちは1つでも上のリーグ、カテゴリーでプレーしたいものです。ですが、そこで少し先の未来を信じ、我慢することができれば、最終的に思っていたよりも早く自分の思い描いていた場所に到達することができているかと思います。
バサラマインツではドイツでチャレンジしたい選手たちを応援しています。
またそんなドイツサッカーで指導してみたいという指導者の方も現在募集しております。
少しでも興味があるよという方は、ご質問なり送っていただけたらなと思います。