2021.12.17
「自分にベクトルを向け全力で取り組み、好機を掴み取る」〜ドイツ1シーズン目の半年を振り返る 副島陸〜
こんにちは!副島陸です。
現在ドイツはウィンターブレイクに突入し、リーグ戦が中断期間に入りました。
今回は自身のヨーロッパ初のシーズン前半戦とこれまでの生活を少し振り返ってみようと思います。
過去に2シーズンニュージーランドでプレーしていた自身にとって、自分よりも身体の大きい選手や並外れた身体能力を持った外国人選手とプレーすることにはある程度慣れていましたが、その中でも一番印象的だったのは、ドイツにおける守備の意識の違いでした。
もちろんチーム戦術や状況によって変化はしますが、端的に言うと、ドイツの守備はとにかく全力で極限までボール保持者に寄せ身体をぶつけて奪うということがスタンダード化されていることです。
日本でプレーしたことがある方であれば多少感覚が分かるかもしれませんが、日本の守備は基本的に相手に抜かれないことを前提に、時間をかけてボールを奪うことが多く、僕自身も特に高校時代は口酸っぱく、相手がトラップしたら止まれ、簡単に飛び込むなという守備意識を叩き込まれました。
特に僕の母校である駒場高校は、走れ、競れ、粘れがモットーの守備面でのハードワークを重んじるチームであるため、練習から守備に割く比率が高く、ドイツに来る前までは守備に関することは高校の時の経験からある程度理解しているつもりでした。
しかし、その今までの感覚がドイツでは全く通用しないことにすぐ気が付きました。
バサラの練習、そして試合で僕が当初よく言われてたのが、もっと寄せろ、奪いに行けということでした。
ファーストディフェンダーが全力でボールを奪いに行くことでボール保持者に身体的、精神的プレッシャーを与え、相手がバランスを崩したり、ボールタッチが乱れたところを2人目、3人目が同じように全力で奪いに行く。仮に1人目が交わされたとしても2人目、3人目が同じように全力でボールを奪いに行くことでボール奪取をするという守備認識がドイツに浸透しているものだと現在では理解しています。
当初はやはり相手に交わされることにビビってなかなか奪いに行く守備が出来ない自分がいましたが、ドイツでの守備意識を少しずつ理解出来るようになってからは自分でもボールを奪える回数が増えてきたり、自分が奪えなくてもその先で味方が奪えるようになったりと目に見える形で改善が見られるようになってきているため、少しずつですがドイツサッカーに適応し始めている感覚があります。
一方、生活面ではドイツが自身にとって海外生活3年目ということで、ある程度待ち受けていることが予想出来たという意味で、そこまで大きなサプライズはありませんでしたが意識して取り組んでいることとしては、ごく当たり前のことですが身の回りのことは全て自分で行うということです。
具体的にはというと、自ら生計を立てることだったり、例えば市役所や移民局に1人で出向き、住民登録や健康保険、部屋探しからの賃貸契約、外国人として避けては通れないビザの手続き等、外国で生活する上で必要不可欠であるこれらのことを全て1人で行うといったことです。
それゆえ自分で全てリサーチし、行動しなければならないため多少手間が掛かります。特に住民登録やビザ等の予約や申請の事務関係に関しては日本よりかなりいい加減なことが多く、その度に日本人の丁寧さや勤勉さは群を抜いて素晴らしいなと実感します。
しかしこのような経験は外国人として外国で生活することの宿命であり、こういったピッチ外での生活の苦労というのも成長出来る大きなポイントだと捉えています。
またそれに加え、ドイツ語の習得のギアも上げていかないといけないとも思っています。当初はドイツ語が話せず英語を用いてコミュニケーションを図っていましたが、ただこれが個人的に外国人の面白いと思っているところで、徐々に自分がドイツ語を理解し話せるようになってくるとチームメイトの自分に対する姿勢や態度が明らかに変わってくるということです。
これまで過去3年間海外生活をしてきて非常に痛感することが、周りの信頼を得る上で非常に重要になるのが、まずは言わずもがな自身の能力を周りに認めさせること、そして今回もう1つ重要だなと再認識したのがやはりその国の言語を使ってコミュニケーションを図ることです。
周りが自分の能力を認め、更にその国の言語も操れるようになった時に初めて真の仲間として認められるんだと理解しています。
過去のチームでも、実際今のバサラマインツでも当初何故か、因縁があるのか自分のことが気に入らなかったのか分かりませんが自分に対して異様に当たりが強い選手が必ず1人か2人はいました。笑
そういった人間を認めさせた時の態度の激変ぶりを現在では見て楽しめるくらいの余裕も出てきたので、そういった意味でのメンタル面の成長というのも1つ大きな収穫だと思っています。
シーズン前半戦はトップチームでの出場時間は限られ、自分の満足行く結果とは程遠いものでした。それでも幸運なことにセカンドチームで出場機会を得られることが多く、チームとしても後期の昇格プレーオフに進むことが出来ました。
ただ今回、これまでの高校時代やニュージーランドで一時期出場機会に恵まれない中の状況とは明らかに違うと実感出来ているのは、どんな状況でもポジティブに捉え、一つの結果に一喜一憂せず、自分がやるべきことを明確に出来ているからだと思います。
常に自分にベクトルを向け続け、その状況で出来ることを全力で取り組むことでこれまでも多く状況を好転してきた過去からも、今回も引き続きそれを続けるのみだと思っています。
後期は巻き返しを図り、トップチームの試合に絡み数字として目に見える結果を残すこと、そしてどんな状況であれ置かれた状況で前向きに全力を尽くすこと、この2つを常に意識しプレー、生活していきたいと思います。