2024.11.01
【指導者インターン】元高校教師がドイツでコーチ留学!Vol.5
みなさん、こんにちは!
ドイツではサマータイムが終わり、日本との時差は7時間から8時間となりました。日照時間は夏と比べると明らかに短くなり、気分まで暗くなりそうですが、ブログは明るくいきますよ!
というわけで、第5回はみなさんお待ちかねのドイツのGKの話です!
目次
GK大国ドイツの子どもたち
ドイツは世界的なG Kを数々輩出してきたGK大国としてサッカーファンには知られています。東西統一以前の西ドイツ時代には1974年W杯でベッケンバウアーらと共に優勝を果たしたゼップ・マイヤーや1982年・86年のW杯2大会連続準優勝に貢献したハラルト・シューマッハ、東西統一後からはアンドレアス・ケプケ、オリバー・カーン、レーマンと名GKが続いていきます。現在では世界No.1の呼び声高いマヌエル・ノイア〜の他、テア・シュテーゲンやレノ、ケヴィン・トラップなどがドイツ代表に名を連ね、世界トップの選手層の厚さといえます。
さて、なぜドイツでは50年にもわたって世界的にGKが活躍しているのでしょうか。もちろん、優れたGKの育成プログラムやメソッドがあり、優秀なGKコーチが多くいることがその理由だと考えることができます。また、ゲルト・ミュラーやクローゼをはじめとする優秀なストライカーがいることで相互作用がはたらき、優秀なGKが育つことも理由の一つでしょう。しかし、それだけではなく、ドイツではとにかくGKが子どもたちにとって憧れであり、一番人気のポジションであることが大きな理由なのだとこの数ヶ月で私は感じました。
先日、バサラマインツとして主催したサッカーキャンプでは6歳から14歳までの子どもたちが地元の選手を中心に21人集まりました。性別、年齢を問わずみんなで3日間、サッカーを楽しみました。その21人の選手たちの中でGKグローブをはめて、シュート練習やゲームでキーパーをやりたいと騒いだ(ケンカした)選手は半数の約10人もいました。
私が普段アシスタントコーチをしているアカデミーでも、本職のGKの他に、フィールドの選手なのにどうしてもGKをやりたい子がいて、いつも個別でのキーパー練習をしてくれとお願いしてきて、練習中や練習後に果てしなくシュートを打たされます。チーム練習以外にグラウンドで子どもたちがサッカーで遊んでいる姿を毎日見ますが、必ずグローブをしている子が数人います。私は日本にいた時、高校サッカーの指導だけでなく、ジュニアユースのクラブやジュニアチーム、サッカースクールにも携わってきましたが、そのような状況は日本の育成年代ではまず考えられません。
これほどまでにGKが人気なポジションであるその背景には前述したスーパースターたちへの憧れがあるのかもしれません。ドイツ人にとってGKはヒーローなのです。これほど人気だと、単純な選手の母数が多い上に、運動能力の高い子や背の高い子が自然とGKをプレーすることになります。
一方日本では、当然ですが攻撃的なポジションが子どもたちの一番人気です。10番に憧れ、背が大きくて足が速い運動能力の高い子はそのチームのエースになります。さらに言えば、野球がとても人気であるため、いわゆる学校で一番スポーツが得意な子がそもそもサッカーをしていないということも少なくありません。
現在、日本サッカーが目標としているW杯ベスト8や優勝への鍵は、もしかすると裾野を広げるグラスルーツにあるのかもしれません。まずは、サッカーをする子どもたちの数が増え、そして楽しんでもらい、サッカーをずっと続けていくような国になってほしいです。このグラスルーツの話はまたどこかで話をできたらと思っています。