2024.04.03
【バサラ卒業生】ドイツからアイルランドへ!「小さくてもやれる」を証明するために成長し続ける【小柳孝輔】
今回のブログは今冬FC BASARA Mainzからアイルランド3部リーグに移籍をしたGK小柳孝輔選手のインタビューブログです。
Q1, 名前, 年齢、出身地、ポジション、出身チーム
小柳孝輔、25歳、東京都、GK
ブルーファイターズSC→多摩大学目黒中学→多摩大学目黒高校→神奈川大学→FCバサラマインツ
Q2,移籍先の国、チーム名
アイルランド、Bangor Celtic FC(アイルランド3部)
Q3,ドイツ1年目を振り返って
1年目はとにかく苦しかったです。コロナで全くボールを使ったチーム練習ができず、グループトレーニングで3ヶ月ひたすらに走ったり、筋トレをしていました。この期間は自分のバサラを振り返るときに欠かせない1つです。あんなにフィジカルトレーニングだけをやった期間はないですし、やり切る日々を続けて、やりきり続ける基盤ができたんじゃないかと思います。真剣にやりながらもたまに笑いがあったり、楽しめていた部分もありました。最初はGKにこんなに走り必要か?とか思ったりもしましたが、どうせやるなら向上させようと思い、取り組みました。
また、コロナ期間はバサラマインツがプロ選手や代理人の方、スピードコーチの方たちとのzoomミーティングを開催してくださり、色んな話が聞けて、自分の中の基準を高めることができた貴重な期間だったとも思います。
規制が緩和されて遂にサッカーが再開し、いざチーム練習が始まると、ドイツサッカーに慣れるまでかなり時間がかかったと思いました。こんなにもシュートが止めることができないのか痛感し、触ったのに力負けでゴールに入ることが多かったです。今よりもずっと自分のことも味方のことも全然理解できていなくて、自分よがりなプレーが多く、練習でのゲームなど何点も自分のせいで失点してしまい一緒のチームになった人たちには迷惑をたくさんかけてしまいました。
トップチームでの出場はカップ戦の1試合のみで、勝ったものの完全に空回りしてパフォーマンスは散々でアピールどころかマイナスにしてしまったと思います。
1年目は主にセカンドチームで試合に出て、リーグ優勝をして昇格を経験できたことは嬉しかったです。難しい試合もありましたがモノにして、1年間勝ち点を積み重ねて、結果を出せたのは良かったです。また90分に出場し続ける経験ができたこと、練習でやっていることを本番で通用するのかがわかることがすごく成長に繋がったと思います。
ドイツ語に関しては語学学校に行ったりしていましたが、「1週間に1回チームメイトとご飯に行くのノルマ」と練習後に突然 BASARA Mainz代表の山下さん(当時はクラブの監督)に言われ、そこからそれを継続した結果この方法が1番伸びたと思います。あまり話せないのにいつも話を聞いてくれたチームメイトにも感謝です。
少しずつ話せるようになってきて、チームメイトとも仲良くなれて、ピッチ内でも指示を聞いてくれたりして、信頼関係が築けたと思います。
そして山下さんの紹介でSV Bretzenheim 1912というチームのGKコーチを始めたのも、ドイツ語が伸びた大きな理由でした。
自分がドイツを離れるまでずっとコーチをさせて貰えてとても有り難かったです。
「GK大国のドイツで言葉も拙い小さい日本人GKが教えて良いのか」と最初は思いましたが、「とにかく目の前のGKを今日の練習で少しでも向上させよう、できることを増やす手助けをしようという思いでコーチをしてました。
普段教えているGKが土砂降りの雨で自分のカテゴリーの練習がなくなったにも関わらず、他のカテゴリーのGK練習はあるの?あるなら僕も参加したいと言ってくれたりした時はとても嬉しかたったし、もっと頑張ろうと思いました。
チーム自体もすごく温かい雰囲気で、良くしてもらえて、ものすごく良いGK、良い人たちに恵まれました。
Q4,ドイツ2年目を振り返って
1番パフォーマンスが伸びたシーズンだったと思います。1年目から続けてきていた、フィジカルトレーニングも徐々に形になってきました。そしてGKとしては1vs1のGKのストップが飛躍的に伸びました。練習でもシュートを止めれる回数が増えて、1年目より自信を持ってプレーできたように思います。
2年目にFelixとチームメイトになったことも自分のGK人生にとってすごく大きかったなと思います。こんなに縦にも横にもデカくて、GKとしての迫力もすごく、シュートをたくさん止める、そんなGKと同じチームになったことがなかったので、衝撃でした。
Q5,ドイツ3年目を振り返って
バサラでの2シーズンを終えて、他のヨーロッパの国にトライアルしに行ってたのですが、全くチームが決まらず、行く宛がなくなってしまいドイツに戻って、山下さんや奥田コーチに相談をさせてもらい、半年間バサラでまたプレーさせてもらえることになりました。
盛大に送り出してもらえたのに、またチームに迎え入れてくれて、有り難かったです。よりチームのことを誰よりもやろうと決めて過ごしました。自分も向上させるし、バサラにももっと尽くそうと心に決めました。
また、自分は「他人に興味がなさすぎる、だから味方や相手の気持ちがわかる能力が低い」ということを言われ続けてきていて、まだ苦手なのですが、チームメイトにも思ったり、気になったことは言うように心がけました。
Q6,バサラに来て2年半で感じたこと
人に恵まれていたなと思います。
バサラでは山下さんや奥田さんなど色んな上のレベルに行った人の話を聞くことで、上へ行くにはこういう人なのかとか、サッカー選手はこうあるべきなんだろうな。というのを学びました。悩んでいる時は山下さんや奥田コーチ、遼(清水トレーナー)、雄大(現在バサラ兵庫でプレー)など親身に相談に乗ってくれて、ピッチ内外でいつも選手の成長を第一にしてくれていた環境でした。同じ部屋の人たちには、すごく気を遣わせていたと思うのですが、許してくれて有り難かったです。他にも色んな人に自主練やシュート練に手伝ってもらって、ピッチ内外でたくさんの人のお陰で、今の自分があると思っています。たくさんの人達に本当に良くしてもらいました。
自分の能力は本当にまだまだですが、バサラでの3年間はものすごく自分を色んな面で成長させてくれたと思います。そして、まだまだ上手くなれる、強くなれると思えましたし、サッカーやGKをより好きになれた時間でした。
GK面では自分で考えること、自分で情報を掴みにいくことの大切さを実感しました。
小3からGKを始めてから、初めてGKを専門的に教わらない経験をしました。
1年目全く止めれず、これを止めるようにするには、この技術を習得するにはどうすれば良いのかと、たくさんGKの動画を見て、試合に行きGKを観にいって、本や記事を読んで、イメージして、試して、動画を見返して、フィジカル専門の人にこの能力を上げるにはどういうトレーニングがありますか?と聞いたりして、これらのことを繰り返して、向上させていきました。
自分で考えて行動に移すことが本当に大事だと思いました。
バサラでは共同生活だったのですが、色んな人と一緒に暮らすことで、色んな話をたくさんして、すごく充実していたなと思います。何よりも楽しかったです。他人と住んだことがなかったので、刺激的ですごく楽しかったです。
Q7,バサラに来て2年半での自身の変化
1番は身体の変化だと思います。筋トレなどによって、大きくなりました。それと同時にジャンプ力やスピードが向上しました。1年目からBASARA Mainzでフィジカルトレーニングを組んでもらっている先生がいて、その人のトレーニングをやり続けました。メンタル面も指導して下さり、今までにない新たな視点を教えてくれるので、ものすごく為になっています。週に一回レポートを出すのですが、その返信が毎週の楽しみの一つでもあります。バサラを離れた今でもその先生にお世話になっています。
フィジカルが向上したからこそ、技術発揮の幅も増えて、ゴールを守れることが増えました。パフォーマンス向上においては、心技体が密に絡み合っていて、それぞれがそれぞれを支え合っているということを身をもって感じました。これからも日々、自分を振り返りより良くしていきたいと思っています。
生活面では特に自炊です。自炊しながらも特に何も考えずに行えていることが、昔の自分からだと信じられないと今でも思います。
そしてシェアハウスをして、食品や日用品など共有するものがたくさんあるので、気を遣ったり、こうしといた方が良いだろうなとか、次の人のことをより考えるようになりました。
Q8,バサラでの思い出
サッカー面ではたくさんあるのですが一つ目はKevinコーチです。KevinさんはGK経験がないのですが、バサラでGKコーチをして下さっており、自分でめちゃくちゃ調べたりして、練習を組んでくれていました。特に1年目のまだ全然慣れてない僕のことをすごく気にかけてくれて、チーム練習の前に1時間早くからマンツーマンでGKトレーニングしてくれていました。常にポジティブな言葉をかけ続けてくれて、心強かったです。
二つ目は2年目の時のトップチームでのリーグデビュー戦です。2年目でようやく回ってきた出番でした。前半3-0とリードしていたのですが、後半はずっと攻められっぱなしで、最後まで耐えて耐えて、3-2で勝ちました。笛がなったときは、嬉しかったですし、ホッとしました。ギリギリの試合をモノにする経験はすごく大事だと思っているので、モノにできて良かったです。日々トレーニングしてきたことが発揮できたのも嬉しかったです。
三つ目は自分にとってバサラでの最後の試合です。自分はベンチだったのですが、逆転して3-2で勝つことができました。あの時は、本当に不思議な力が働いたな、日々の中で自分が決めてやろうと思ったことをやり続けてきて本当に良かったなと思いました。最後にみんなに喋るときは泣いてしまって、うまく喋れなかったのですが、とにかくバサラが大好きだなと改めて思えた瞬間でした。所属チームをそんな風に思えるのは幸せだなと思いました。
生活面ではチームメイトとご飯に行ったときや夜のケアしてるときに、みんなで話している時間がとても好きでした。
ご飯はGKのFelixと行くことが多かったのですが、他愛もない話もしましたし、GKの話をしたりするのが楽しかったです。自分たちでGK練習をするときは、お互いが求めるボールっていうものがあって、その波長がものすごく合うGKでした。お互いがギリギリのボールかつ、そのトレーニングの主旨みたいなものを言わずにわかっていたように思います。
家では、夜のストレッチをしている時間にみんなで他愛もない話をするのが楽しかったです。たまにそのまま真面目な話になったりして、とても良い時間でした。部屋の人たちがとても面白かったので、たくさん笑いました。猫も部屋にいていつも癒されていて最高でした。
また、現在バサラ兵庫でプレーしている馬場雄大との時間です。自主練を手伝ってもらったり、毎日練習後に一緒に帰りながら、その日の練習のことを話して、週末には毎週のようにブンデスやアマチュアの試合を観に行ってたのもすごく思い出深いです。試合のこともそうですし、バサラのこととか、各々のことなどサッカーのことをたくさん話した時間でもあり、自分にとってすごく為になる時間でした。
Q9,バサラGK陣について
バサラのGK陣は、GKにしかわからない気持ちを理解し合えているので、常に味方というイメージはすごくありました。週明けの練習ではお互いの試合はどうだったのか話したり、練習中にアドバイスしあったりすることもありましたし、良いプレーには褒めて、ギリギリの失点してしまったシーンなどは一緒に残念がって、みんなGKの良いセーブを目の前でテンションが上がっていたり、感情移入しているんだろうなとも思いました。
誰かが試合に出るわけで、その時はみんな素直に「ゴールは任せた」と送り出せる関係だったと思います。GKは1人しか出れなくて、代わることはほとんどない。けどいつ出るのかわからないから常に心身ともに準備をしておく。なので、ベンチの試合後も疲労感はものすごくあります。色んな感情が入り混じり、非常に難しいポジションだなと思う日々でした。
GK陣とのエピソードで、良く覚えているのは試合では昨シーズンの最終戦が終わり、Felix の元に行ったときに「1年間、最高のウォーミングアップや練習を本当にありがとう」と伝えてもらって、全力でサポートしてきて良かったな、けどずっとサポート役だったなと思い、印象に残っています。
そしてバサラでの最終戦でJensがメンバーだったのですが、僕が最後だからとKevin監督に言って、メンバーを代わってくれたのも、中々ないことだなと思いました。
Danielは、僕に良くアドバイスをくれました。半シーズンしか一緒にやっていませんでしたが、アドバイスしてくれて、自分が作った練習メニューにもフィードバックをくれたりして、新たな視点をくれて、自分の考えるきっかけにもなりプラスになりました。
Q10,アイルランド移籍に至った経緯
夏に全くチームが見つからなくて、山下さん相談させてもらったときに、冬からアイルランドはどう?と提案があり、そこからアイルランドのチームにメールを送り、10月に一回3部のチームの練習参加に行きました。
何チームか練習参加に行ったのですが上手くいかず、ドイツに戻る3日前に、もうダメかなと思っていたのですが、ダメ元でもう一度3部のチームに連絡してみたら、返事があったチームがあり、たまたまそのチームがGKを探していて、その日の練習に呼ばれて行き、現在所属しているBangor Celtic FC に入れることになりました。とても運が良かったです。
Q11,アイルランドサッカーの印象
とにかく肉弾戦という印象です。
観てるのと実際にプレーするのではこんなにも違うのかと、初めて出場した試合ではかなり驚きました。ペナルティエリア内は戦場。試合を通してファールが多く、ゴール前は肉弾戦で、少し大袈裟かもしれませんが競技が違うと思いました。と同時に、ここでゴールを守ることが求められ、自分の殻を一つ破れるとも思っています。
ドイツ時代とは違った天然芝のでこぼこの泥濘んだピッチなので、後ろから繋ぐというより、蹴る、競る、突っ込んでくるという印象です。
強さ、スピード、無理の効く身体、怪我しない身体を作っていかないといかないですし、何が起こるかわからないピッチなので、より予測のバリエーションを増やしていかないといけないと思います。
シュートをコースというよりフルスイングで撃ってくるのはドイツとかなり似ています。コースじゃなくてパワーといった感じです。あとはサイズ感。みんな大きいです。国柄、ラグビーも強いからかそこら中にジムかあって、去年練習参加したチームにもクラブハウスにジムがついているチームがほとんどでした。
ゴールキーパーの違いとしては、単純にドイツの方が止めるなという印象です。GKの迫力やテクニックはドイツの方が強い印象があります。
ただアイルランドのGKも力強く、特にシュートに対して力強さがあるなと今の所感じています。
ただ、まだ来て間もないですし、じっくり継続していないので、なんとも言えないです。今の時点での印象です。あとはアイルランドのGKは足腰が強いなと思います。泥濘んだ天然芝でずっとやっているからだと思うのですが、あまり滑らないのが強いと思います。僕はまだ軸足や一歩目で滑ってしまうことがあります。
Q12,バサラで学んだことをアイルランドでどう生かそうと思っているか?
新天地なので、まずはバサラ1年目にアドバイスしてもらったことや、自分の経験を活かそうと思って今取り組んでいます。
チームからは何を求められているのか、チームメイトはどんな特徴があるのか、チームメイトとの関係をどう築いていくかといったところです。
ピッチ外の部分ではバサラで学んだ自炊やコンディショニングは、今の自分の基盤となっているもので、自分を助けてくれているものです。継続しながらもっと自分に詳しくなって、レベルアップもさせていきたいと思っています。
生活面では、自分にコントロールできない部分をどう受け入れるか、どう発想の転換をしていくかということです。日本だとどう、ドイツだとどうとか比べずに、アイルランドをそのまま受け入れるようにしています。そのまま受け入れることはドイツにいたときにすごく良い感覚を持てたので、それをアイルランドでもしたいなと思っています。
あとは全くサッカーと関係ないことをしている人たちとシェアハウスをしていて、人の考えていることを読み取る力も向上させたいので、より人を観察することを心がけています。
Q13,新しいチームと今後のサッカーの目標,目標達成のために自分がやらなくてはいけないこと
まずは今のチームで試合に出ることです。そして1年後にアイルランドの2部以上にステップアップすることです。自分の中で優先順位は決めてますが、本当に全部の能力を高めないといけないです。キリないです。“欧州1アグレッシブで野生味のあるGK” という自分の理想像に近づいて、“小さくてもやれる”というのを証明するためには全部です。成長スピードを上げていくために、より濃く24時間をサッカーに繋げていこうというと思ってます。
以上が、小柳選手のインタビューブログになります。2年半バサラで努力を積み重ねてきた小柳選手の今後の成功をスタッフ一同祈っております。